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2015年 01月 16日
「箱の谷」
>>『<札幌の模型店>113年で幕 3代目店主「体力の限界」』
札幌市中心部の狸(たぬき)小路商店街最古の店で、1902(明治35)年から営業を続けてきた「中川ライター店」(中央区南3西4)が12日、113年の歴史に幕を閉じる。体力の限界を感じた店主が閉店を決意。レトロな店の天井からつり下げられた飛行機の模型や棚にびっしり積まれたプラモデルに胸を躍らせてきた元少年たちが子どもを連れて別れを惜しみに続々と訪れている。


実家のある街にもかつて小さな模型店があった。
入り口に控えめにTAMIYAの看板を掲げた小さな店で、店内は六畳間に毛が生えた程度の
広さしかなかった。そして通路の両側の棚にはプラモデルの箱が天井に届きそうなほどに
積んであった。
通学路上にあったその店に初めて行ったのは小学校低学年だったが、その後のだいぶ
長い間、ぼくの生活はその店を中心に回るようになった。
平日は放課後に。休みの日は午後をまるっと。
店の引き戸を開けて中に入るといつも棚を見上げる見慣れた友達の顔があった。
お店のご夫婦もどちらかと言えば商売に貢献しなかったであろう僕ら子供たちをイヤな
顔せず迎えてくれた。

その店は僕が社会人になった年に突然閉店してしまった。閉店の理由を色々を耳に
したけど果たして本当かは今でも分からない。
その時のショックは今でもはっきり覚えている。真面目に物理的に胸に痛みを覚える
ような感覚だった。

最近ああいう個人経営の模型店をすっかり見なくなった。
考えてみると今の子供たちはプラモデルなんてまず作らない。むしろそういう時代だから
こそ模型店は数を減らしているのに違いなかった。
今の若者には想像もつかないことかも知れないけど、かつての少年たちは模型屋の棚が
人生のほぼ全てだった時期があったのだ。
こんなニュースを目にすると今でもあの時の高揚が蘇ってくる。





by jellyfishcafe | 2015-01-16 00:47 | NEWSネタ


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