2008年 11月 25日
東京都美術館で開催中のフェルメール展に行ってきました。 3連休中だったので激混みを覚悟して行ったのですが、中途半端な時間に行ったせいか思いの他空いていて、割とゆっくり絵を見ることが出来ました。 個人的な目玉はやっぱりフェルメールの「小路」。 ぼくはあんまりこの手のイベントに行くワケではないのだけど、やっぱり絵画というものは図録や画像で見るのとホンモノを見るのとでは全然違うのだなと今回改めて実感しました。 ホンモノの「小路」は思ったより小さなサイズの絵。 しかし、その書き込まれ具合は尋常ではなく、小さなカンバススペースに異常なほどの量の情報が練りこまれた絵、という印象を強く受けました。 なにより驚いたのは、壁のレンガの描写がとんでもなくシャープなこと。よく写真で「カリカリのピント」という表現をしますが、「小路」のあの建物のレンガの一枚一枚は本当に目に染みるほどカリッカリッに書き込まれてます。それはもはや下手な写真よりも写真的なシャープさで、これが油彩で書かれたとにわかには信じ難いほどでした。画像で見ているだけではここまでとは分からなかったです。 反対に表題である小路やそこで働く人々の描写は、リアルではあるけど全体の中では意外なほどぼんやりしたイメージなのが印象的でした。 以下は絵の知識が全くないオトコの個人的な感想です。 この絵は「小路」という題名なワケだけど、実際にフェルメールが描きたかったのは小路ではなく、右側の建物そのものなんじゃないかというようにぼくには思えました。 しかし、ただ渾身の書き込みで建物を描いてもそこに生命や生活の躍動感は盛り込めない。だから彼は奥行きを持つ「小路」や動きのある人物を描くことで、この建物を「生きた建物」にする魔法をかけたんじゃないでしょうか。 もう一つ。 先日のTVでもやっていた「この絵の風景は果たして実在するのか」いうことだけど、個人的にはぼくはきっと実在の場所ではないだろうと思いました。 モデルとなった建物はあるのかもしれませんが、実在の景色をスケッチしたにしては、あまりにモノの配置が計算され尽くしているのではないかと。おそらくフェルメールは脳裏で「愛すべきデルフトの建物のための最高の風景」を想像して書いたんじゃないか、そんな印象を持ちました。 追伸: 「フェルメール展」ということになってますが、実際には同じデルフト派の画家の作品も合わせて全38作品(うちフェルメール作品7枚)が展示されています。そして他の画家の絵もとても良かったです。 興味とお時間のある方は是非。 #
by jellyfishcafe
| 2008-11-25 01:23
2008年 11月 22日
写真は香港は中環の金融街界隈。 アジアの経済要衝である香港も昨今の金融危機の波からは逃れられないようで、企業の倒産や人員削減などが相次いでいるらしい。 しかし個人的に思うのは政治経済が如何に大変な状況となろうが。香港の人々と街にみなぎるあのパワーはきっと変わらないだろうなということ。 そりゃあ失業者が増えたり店が消えたりということはあるだろうけど、日本のように不景気のせいで街の空気までグレーに染まってしまうというようなことはちょっと想像できない。 なんというか。 香港人と日本人ではヒトが生きていくための基礎体力のようなものが根本的に違うように思う。 香港の人々の生活基礎体力はとても高い。 そしてその基礎体力こそが、これからの10年間でたぶん大きく変わるであろうこの世界を生きていくカギになるような気がぼくはしている。 #
by jellyfishcafe
| 2008-11-22 01:50
2008年 11月 19日
「私たちはここ100年の間、自分たちの体で壮大な実験を行ってきた。昼の時間を再現なく延ばし、夜を短くして光に対する人体の反応を混乱させる実験だ」 - Verlyn Klinkenborg - (from NATIONAL GEOGRAPHIC) 今月のNATIONAL GEOGRAPHICの特集「氾濫する照明の海」はとても興味深かった。 現代において多くの都市の空は深夜でも暗くなることがない。 夜空を見上げてもそこには雲に反射した街の明かりが映っているだけ。ヒトが作り出したそうした「暗くない夜」がヒト自身や周囲の生物や環境にどんな影響を与えているかを探る特集。 実際のところ、夜行性の動物じゃなくてもこの光害は想像上に多くの生物の生態を混乱させているようだ。 例えば夜に孵化するウミガメの子供は、海の方向を知るのに水面が放つ僅かな反射光を頼りにしているらしい。だから、海岸線ぎりぎりに建てられたリゾートのまぶしい光のせいで道路に向かってしまい、生まれたばかりの命を落とすウミガメは年間数万匹もいるそうだ。 ヒトについても、ある種のガンは光害との関係が疑われているものもあるらしい。 ぼくの住むところは田舎なので夜空が暗くないということはないが、地表の明かりが全て消えるということはないし、深夜でも懐中電灯など持たずにコンビニまで歩いていける。 既にぼくの生活でも自然の暗闇は失われているのだ。当たり前のことのようだが、よく考えてみるとこれは結構コワいことだと思う。 今からさらに100年後、この星の夜はどうなっているのだろう。。 #
by jellyfishcafe
| 2008-11-19 23:05
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